今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
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会員様の難題解決事例 知らない間に自宅の敷地に財務省の登記が…(2023.07)
今月号では、5年前に開催した相談会に来られ、その後、入会された方の解決事例です。払い下げで買った土地に、いつの間にか財務省所有の土地が登記されていたという、非常に珍しいご相談です。今年2月に無事解決したということで、ご紹介させて頂きます。お話を伺うのは、相談者K様と弁護士の戸門大祐先生です。戸門先生には、本誌2面の「法律お役立ち情報」をご執筆頂いています。
【自宅の敷地の一部が財務省の土地に】
関口)まずは、K様からご相談内容をお聞かせ頂けますか。
K様) 私が住んでいる自宅の敷地は、昭和22年に国からの払い下げで父が買った土地なのですが、敷地の中に、いつの間にか、大蔵省(現・財務省)の所有になっている土地があったのです。それを知ったのは平成8年頃でしょうか。隣の家が建て替えをすることになり、その弁護士が、「お宅の土地に財務省の登記が入っている」と言うのです。それで、行政の法律相談で土地家屋調査士さんに相談し、調べてもらったところ、確かに入っていると。財務局や法務局に問いあわせてくれたところ、財務局は、「帳簿を探したがそういう土地(B)は無い」、法務局は「訂正はできない」という回答で、どうすることも出来ませんでした。生活に支障があるわけではないので、しばらくそのままにしておきましたが、いずれ何とかしなければと思いながら生活していました。
そんな時、令和元年に、協会さんの相談会のことを知り、思い切って相談することにしたのです。
関口) 初めて聞いた案件で、こんな事があるのかと半信半疑でした。協会でも調べましたが、財務局と法務局の回答は同じでした。Kさんの土地は都内の高級住宅街で、不動産価値も非常に高いので、このままだと資産価値が下がってしまいます。解決するには、法的措置をとって、国を相手に争うしかないのではと思い、戸門先生をご紹介しました。
戸門) このような案件は初めてで、手探りでしたが、国の間違いを是正するわけですから、ハードルが高いという事は分かっていました。しかし、Kさんには全く非が無いので、きちんと説明して筋を通せば応じて頂けるだろうと考え、依頼をお受けしました。
【財務局の協力を得て、法務局に根気強く交渉】
関口) Kさんからの依頼を受けて、戸門先生はどのような戦法でいこうとなさったんですか。
続きは本誌にて…