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神奈川県の住宅政策とコロナ前後の人口移動の変化(2022.09)
今月号では、神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課の久米邦明 課長に伺います。
コロナ禍でテレワークが多くなり、都心から郊外へ引っ越す方が増えています。神奈川県では、コロナの前後で人口移動に大きな変化が表れているようです。
【神奈川県住生活基本計画の改定】
手塚) 令和3年度末に神奈川県の住生活基本計画を改定されたということで、その概要を教えてもらえますか。
久米) 「神奈川県住生活基本計画」は県の住宅政策の目標や施策展開を記載したもので、1987年(昭和62年)に当初策定し、以来、5年おきに改定しています。
今回の改定では、コロナ禍を契機とした住まい方の多様化や、自然災害の激甚化・頻発化などについて、内容を充実させ、4つの視点から目標・施策を立てています。
1点目は、社会環境の変化からの視点。これはコロナ等による住まい方の多様化や、災害に強いまちづくりについてです。
2点目が、人・くらしからの視点。特に、高齢者や若年、子育て世帯が安心して生き生きと暮らしていけるような、セーフティネット住宅や居住支援についてです。
3点目が、住まい・まちづくりからの視点。これは脱炭素社会の実現や空き家の適切な管理、利活用などです。
4点目が、神奈川らしい住生活からの視点ということで、地域コミュニティの再生や健康団地(県営住宅を「だれもが健康で安心していきいきと生活できる団地へと再生すること)などの取組です。
【コロナ禍に伴う人口移動の変化】
手塚)まず、1点目の視点に関してですが、コロナにより生活様式に変化が出たと思いますが、どのような影響がありましたか。
久米) テレワークが非常に身近になり、自宅や地域で過ごす時間が増えました。
神奈川県は、東京に近く、自然が豊かですので、ウィズコロナの住まいとして非常に注目されているのではないかと思います。住民基本台帳を元にし、コロナ前とコロナ後の人口移動を比較したところ、コロナ前の2019年では、神奈川県から東京都区部への転出超過が1818人だったのに対し、コロナ後の2020年は、逆に都区部から神奈川県への転入超過が7440人と、かなり増加しました。
続きは本誌にて…