今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。
宅建業法、借地借家法の改正と東京都に寄せられる不動産相談(2022.08)
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(以下、デジタル形成整備法)が令和3年5月19日に公布されました。
これにより、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)および借地借家法が令和4年5月18日に改正されました。
今月号は、その改正内容等について、都民の皆様からの相談を受けている不動産業課長 山﨑美樹子様、適正取引促進担当課長 栗原陽子様にお話しを伺います。
手塚)デジタル形成整備法は、主には、個人情報保護法の改正を行い、地方公共団体毎に異なっていた制度について全国的な共通ルールにすることや、マイナンバーカードの発行・運営体制の強化を内容としています。その中でも、行政の手続きに関しては、押印を求める手続きで押印が不要となったり、書面交付が求められていた手続きについても電磁的方法(PDFファイル等)での交付が可能となる等、これからの社会活動をデジタル化する上で必要な法整備になっております。
【宅建業法の改正】
手塚) 当該デジタル形成整備法により、宅建業法も一部改正になりました。そのポイントや注意点を教えて頂けますか。
山﨑) 従来「書面の交付」が必要とされていた重要事項説明書および37条書面(一般的に、不動産の売買契約書と言われている書面)、媒介契約書等の書面が、電子メール等による提供でも可能になりました。
また、重要事項説明書、および37条書面については、宅地建物取引士の記名・押印が不要になりました。改正により、賃貸住宅の入居に係る手続の全てをオンラインで行うことが可能となり、契約に伴う時間や費用等の負担軽減、接触リスクの低減、契約締結までのスケジュールの柔軟な調整などが期待されます。ただし、すべて電子化されると契約内容を紙媒体で確認することが出来なくなる恐れがあるため、ご高齢の方などを考慮し、電子化は借主側の希望があった場合に限定して、借主が書面でのやり取りを希望する場合は、引き続き書面で行うことになります。
【借地借家法の改正】
手塚) デジタル形成整備法による借地借家法の改正点も教えて頂けますでしょうか。
栗原) 借地借家法上の一般定期借地権の特約や、定期建物賃貸借に係る事前説明書面の交付等が、これまでは書面で行うものとされていましたが、電磁的方法等でも可能になりました。
続きは本誌にて…