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「格差是正」相続税、贈与税の一体課税の動向(2021.10)
今月号は、今話題の相続税、贈与税の一体課税について、和楽税務コーナーにご執筆をいただいているフジ相続税理士法人、税理士 高原誠先生にお話を伺います。
手塚) 令和3年度税制改正大綱に「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税と暦年課税制度のあり方を見直す」という文がのりました。どの様に解釈すればよいでしょうか。
高原) 資産の移転時期により、税率も計算方法も違い、税の負担に公平性が無い現在の状況を是正しようということで見直しが検討されています。現在、全国で8.3%、東京都に限ると16.3%の人が相続税を納めています。
まず考えられるのは、①暦年課税の基礎控除(110万円/年)の廃止②相続時精算課税の一本化等です。暦年課税は現在、相続開始前3年以内のものは相続財産に加算されていますが、この3年が10年、15年等に延長される可能性があるのではないかということです。
手塚) それは将来的に可能性があるということで本決まりではないのですか。
高原) 具体化はこれからです。しかし、実行された場合インパクトは大きいです。贈与税には暦年課税と相続時精算課税があり、併用することはできません。暦年課税は1年ごとの贈与額に対して課税しますが、年110万円まで非課税です。毎年、少額を長年にわたり生前贈与している人は多いのではないでしょうか。相続時精算課税は生前に2,500万円まで非課税での贈与を認め、相続発生時に精算する制度です。2,500万円を超えた場合は、超えた分に対して一律20%の贈与税がかかります。
手塚) 諸外国ではどのような制度となっていますか。
高原) アメリカやイギリスでは、相続財産と過去に贈与を受けたすべての贈与額の合計額が相続税の対象になります。ドイツでは、相続開始前一定期間(10年~15年)に譲り受けた贈与額と相続財産の合計額が相続税の対象となっています。
続きは本誌にて…