今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。
成年年齢の引き下げと事故物件についてのガイドライン(2022.03)
明治時代から約140年間、日本の民法では成年年齢は20歳と定められていました。民法が改正され、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。これにより、不動産取引ではどのような点に留意すべきでしょうか。また、これまで曖昧になっていた事故物件の告知について、2021年10月に国土交通省からガイドラインが出されました。今月号は、この2点について協会の顧問の濵田憲孝 弁護士に伺います。
【成年年齢が20歳から18歳に】
手塚) 民法の改正については、瑕疵担保責任が契約不適合責任になったり、連帯保証人をつける場合は極度額を明記しなければいけなくなったり、これまでも色々な改正がありました。
4月1日から、成年年齢が18歳になりますが、特に不動産関係でどのような影響があるか伺いたいと思います。そもそも、成年年齢の引き下げというのは、世界的な流れがあるのでしょうか。
濵田) 成年年齢の定めというのは、民法4条の「総則」という分野に置かれています。引き下げになったのは、いくつか理由がありますが、世界的には成年年齢が18歳というのが主流になっています。
手塚)今までは20歳以上でなければ契約行為ができなかったのが、今後は18歳以上であれば不動産の賃貸借契約や売買契約を単独でできることになりますよね。18歳で大学生や新社会人になり、一人暮らしを始める方も多いと思います。これからの賃貸借契約締結にあたっては、親権者の同意無しに一人で契約できるようになります。大家さんは、どのような点に気を付ければいいでしょうか。
濵田) 成年年齢が下がるだけで、契約時にやるべきことは基本的には同じです。しかし、トラブルを未然に防ぐためにも、今まで以上に丁寧な説明をして、きちんと理解して頂くことが必要になるのではないかと思います。親御さんの同意は法的には必要なくなるわけですが、できれば一緒に説明を受けて頂いたり、説明を受けたことを書面で取り交わした方がいいですね。改正後の実務の運用の中で、そういうことまでは必要ないという流れになるかもしれませんが、それくらい慎重にやってもいいのではないかと思います。
手塚)これからどのようなトラブルが出てくるか分かりませんので、従来通り、親御さんへの説明や同意書を頂くことを継続した方がいいということですね。逆に、成年年齢が下がることにより、借主側が注意する点はありますか。
続きは本誌にて…