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和楽(会報誌)

「和楽」はオーナー様向けに毎月発行している会報誌です。
今年で29年目を迎え、賃貸経営に関する専門家の解説や、行政ニュース、セミナー開催情報など、お役に立つ情報を掲載しております。
東京都、神奈川県などの各市町村をはじめ、首都圏主要都市の行政担当部署にも配布させて頂いております。

民法改正スタート 大家さんが知っておくべき改正事項(2020.04)

協会顧問弁護士

東京グリーン法律事務所

伊豆隆義

2017年に公布された改正民法が4月2日に施行されました。本紙でも対談や法務のコラムでお伝えしていますが、借地借家にも大きな影響がありますので、改めて取り上げます。今月号は協会の顧問で、東京グリーン法律事務所の弁護士 伊豆隆義先生に伺います。

 

【賃貸借契約上の注意点】

① 極度額の設定

手塚) まずは不動産の賃貸借で、オーナーさんが知っておくべき改正事項を教えて下さい。

 

伊豆) 最も大きい変更は、個人が連帯保証人になる場合、契約書上で極度額を定めていなければ、保証契約が無効になる点です。改正前は、滞納家賃などの債務の範囲・金額を限定せずに将来発生する債務を包括的に保証した例でも、最高裁の判例で高額な滞納家賃を保証人に認めた事例もありますが、4月1日以降の新規の契約では、極度額の定めがなければ保証されません。極度額を定めるのは、4月1日以降の新規の契約からですが、問題は更新契約ではどうするかです。更新の時に、連帯保証人の署名・捺印や極度額の記載がなければ、最初の契約の内容が適用されるという見解が多いので、現時点では、更新契約書に連帯保証人の署名・捺印をもらわないとの現実的な実務対応の例が多くなると思います。

 

手塚)極度額の金額は、どれくらいが妥当なのでしょうか。

 

伊豆)明確な基準はないのですが、立ち退きまでのリスクを考え、家賃の半年分から2年分程度かと。実際に明け渡しまでにどれくらいかかるかと言うと、未払い家賃、退去時の原状回復費用、裁判になった時に中の家財を一時保管するための費用など、あわせて家賃の1年分くらい必要です。その一方で、あまり高額な金額が書いてあると保証人が嫌がることも想定できます。いずれにしろ、改正民法が施行され、実際に裁判で判決が出てみないことには、何とも言えない部分が多いです。

続きは本誌にて…

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