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令和2年 賃貸住宅市場動向と国の住宅政策動向(2020.01)
毎年、新年号では国土交通省に国の住宅政策について伺っています。今年は、国土交通省 住宅局 住宅総合整備課 賃貸住宅対策室 下田平和貴(しもだひら・かずき)室長にお話を伺います。
手塚) 今年の住宅政策にはどのようなものがあるのでしょうか。
下田平) 国土交通省では、昨年(令和元年)9月に有識者を交えて、中長期的な国の住宅政策等の方向性を定める住生活基本計画(全国計画)の見直しの議論を始めたところですが、住宅確保要配慮者の中でも特に大家さんの拒否感が強いと言われている「単身高齢者」や「外国人」の民間賃貸住宅への受入れは、いずれも議論の対象になっております。
【単身高齢者の民間賃貸住宅への受入れ】
手塚) まずは、単身高齢者の受入れに関する政策について、お聞かせ下さい。
下田平) 単身者が亡くなり、相続人等が分からない場合や支援の期待ができない場合に、「居室内の残置物をどう処分したらいいのかわからない」「手続きが煩雑」という大家さんからの声が多く寄せられたことから、国土交通省では平成31年3月に賃貸借契約の終了や残置物の処理に関連する現行法令や制度等にどのようなものがあるかを整理するとともに、様々な工夫や取組をご紹介する「《大家さんのための》単身入居者の受入れガイド」を作成・公表しました。当該ガイドは、国土交通省のHPに掲載しておりますのでご覧いただければと思います。
亡くなった後、相続人がいない場合、相続財産管理人選任の申立てをする必要があり、そういった手続きの流れもご説明していますが非常に煩雑です。そのため、国土交通省としては、契約前の準備が非常に大事だと考えており、連帯保証人や緊急連絡先、相続人の連絡先等を記載する「入居者情報シート」というものをガイドの中でご紹介しています。活用可能な制度として、更新のない「定期借家契約」や、入居者が亡くなったら賃貸借契約が終了し賃借権が相続されない「終身建物賃貸借契約」もご説明しています。他にも、残置物の処理費用や原状回復費用等をカバーできる家賃債務保証、損害保険、少額短期保険等の仕組みもご紹介しています。
なお、単身者の孤独死というのは、高齢者だけではなく、実は4割が現役世代と言われておりますので、老若男女問わず単身入居者をどう受け入れていくかという点も課題であると認識しています。
続きは本誌にて…