目まぐるしい変化と土地活用
AIやらChatGPTやらと世の中の進化のスピードが日に日に早まっております。
その目まぐるしい変化を人間より7倍速いといわれる犬の成長速度にたとえて「ドッグイヤー」と呼んだのはすでに過去の話で、18倍速いといわれるネズミに例えた「マウスイヤー」も既に過去のものとなりつつあります。
その間、世の中はリーマンショック、株安、株高、円安、円高、震災にコロナ禍、戦争、異常気象など、いろんなことが起きすぎて、もはや明日、何が起きてもおかしくない状況です。
不動産まわりに目を向けると、少子高齢化による人口減、増加する空き家問題、対する都市部マンションの価格上昇、資材高、人件費高による建築費の上昇、ライフスタイル、ワークスタイルの変化やITの普及による在宅勤務の増加、田舎暮らし、外国人観光客の増加による宿泊施設や観光施設の変化などなど、社会経済、流行の変化によってもはや5年後、10年後のことはよくわからないのが正直なところです。このような変化の目まぐるしい世の中において、土地活用はどのような視点で考えればよいのでしょうか。
一つのポイントは、リスクを自分がとるか、プロにとってもらうかです。
自分でリスクをとるとは、自ら資金の調達をして建築し、賃料収入を得ることで、これまでの一般的な賃貸経営といえるでしょう。一方、プロにリスクをとってもらうとは、活用方法、用途の選定や資金調達、建築、その後の賃貸経営のすべてはプロに任せ、自身は賃貸経営に参画せず、土地のみを提供し、土地の利用料である地代(借地料)を受領するという方法です。
要するに、土地活用を積極的に進めたいプロに土地を提供し、プロとの間で借地契約(定期借地契約が望ましい)を締結するということです。
特に、敷地が広い、幹線道路に接している、住宅か店舗か事務所かいずれの用途も対応可能である、また、自ら建築する場合は建物規模が大きくなり多額の建築資金が必要となるような場合は借地の検討の余地は十分にあるでしょう。幹線道路沿いの飲食店やコンビニ、ドラッグストア、洋品店などは、時代の目まぐるしい変化によって入れ替わりや営業のサイクルが短くなってきています。このような立地は自ら経営するより、土地を貸して、プロに経営してもらった方がリスクはほとんどありません。また、このような商業立地ではなくとも、高齢者施設の建設や、保育所の建設なども同じことが言えます。特に保育所は待機児童が社会問題化し、行政の旗振りによって多くの保育所ができましたが、既に待機児童問題はほぼ解決し、逆に定員割れしているところが増えてきているようです。過去最低の出生率ですので、冷静に考えればこれも当然のことといえるでしょう。
要するに、変化が激しい昨今、多額の投資が必要な土地活用は、借地を活用しプロに任せることも有効な選択のひとつであるということです。
こんな時代だからこそ、ゆっくり考える、何もしないのも有効な選択のひとつですかね。
(著者:不動産コンサルタント 伊藤)