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賃貸経営

漏水事故と施設賠償責任保険の有用性について

最近、2階の給水管が破損したことによる1階への漏水事故に直面しました。

因みに2階はオーナー様のご自宅で、1階は賃貸に出しているお部屋です。

被害状況ですが、漏水の量が多かったため、1階の天井全体が水につかって沈んできてしまい張替えを要する状況、また1階の貸室のソファーやマットレス、衣類が汚れてしまいました。比較的大きな損害だということになります。

 

 

 

 

この漏水事故の保険対応について参考までに説明いたします。

復旧の対応としては、

①給水管の修理

②天井全体(ボードも含む)の交換工事

③借主様の家財の弁償

  (クリーニングもしくは買い替え)

の流れになります。

 

まず給水管の修理を行うには天井の開口が必要になるので、天井を全て壊すことになりました。当然ながら工事中は1階で生活することができません。幸い近くのアパートに空き部屋がありましたので、工事が終わるまでの期間、その物件に仮住まいしていただくことになりました。結局工事は2週間程かかりました。

工事に要した費用に対しての保険対応可否は下記の通りです。

①給水管の修理費用

→オーナー保険の「破損・汚損」の特約で適用可能

②天井の交換費用

→オーナー保険の「水ぬれ」の特約で適用可能

③借主様の仮住まい費用

→オーナー保険の「水ぬれ」の特約で適用可能

④汚れた家財のクリーニング又は買い替え費用

→オーナーの「施設賠償責任保険」と借主保険で   適用可能

 

今回のオーナー様は建物保険に「破損・汚損」の特約を付帯されていなかったので、給水管の修理費用については保険対応ができず実費をご負担いただく事となります。「水ぬれ」の特約はオーナー保険に付帯されていることが多く、今回のオーナー様も然りでしたので、天井の交換費用と、それに付随する工事中の借主様の仮住まい費用は保険対応が可能です。

 

最後の、1階の貸室で汚れてしまった家財については、オーナー様の「施設賠償責任保険」と借主様の保険を併用することになります。

ここで読者様の中には「借主様の家財は借主保険で対応すれば済むのではないか」と思われる方もいらっしゃいます。

確かに、借主様の保険を使えばクリーニング費用や買い替え費用が、満額下りる可能性が高いです。しかしながら、その費用=保険金を支払った保険会社は、後からオーナー様に対して、汚れてしまった家財の時価相当額(概ね30%)を請求できる「求償権」というものを得ますので、場合によっては保険会社からオーナー様に請求があるかもしれないのです。

その場合、オーナー様がご自身の保険に「施設賠償責任特約」を付帯されているか、もしくは単独で「施設賠償責任保険」を契約されていれば、借主様側の保険会社から時価相当額の請求をされたとしても、ご自身の保険で対応ができることになります。なお施設賠償責任保険を契約する際には「漏水担保特約」を付帯しなければ今回のような漏水事故における保険対応はできませんので合わせてご注意下さい。

 

最近のオーナー保険には「施設賠償責任特約」を付帯でき、1つの保険契約にまとめることができるのですが、過去に保険期間を最長35年までとする事が可能だった時代の長期契約について、その保険には「施設賠償責任特約」を付帯することができず、別に「施設賠償責任保険」を契約する必要がありました。そのため長期契約(概ね11年以上)を締結されているオーナー様で「施設賠償責任保険」に加入されていない状況を良く目にいたします。保険料自体は驚くほど高額ではありませんので、いざという時のために「施設賠償責任保険」について加入状況の確認をおすすめいたします。

 

(著者:鈴木)

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