home > 協会コラム > 賃貸経営

賃貸経営

2024年問題の問題

さて、2024年問題という言葉を最近よく耳にすると思います。

2024年問題とは、働き方改革関連法による労働時間の規制の問題で、企業の残業時間を法律で規制し、違反者には罰則を設けるというものです。

 

 

すでに一般の企業は残業時間の規制が実施されていますが、業界の体質や労働環境、労働人口の減少などの観点から、すぐに残業の規制が難しい業界、特に運送業界や建設業界については一定期間の猶予が設けられていました。その猶予期間が来年終了し、2024年4月より、残業規制を守らなかった企業は罰則が設けられることになったのです。

では、建設業の2024年問題が不動産に与える影響について考えてみましょう。

 

建設業界は高齢化が進み、労働人口も年々減少しております。就業者の高齢化と若年層の減少によって、これから更に労働力不足が深刻になるのは明らかです。このようなことから建設業界の更なる人件費の上昇は避けられません。また、慢性的な労働力不足による時間外労働が常態化したなかで組まれている建築の工期も、残業規制によって大幅に伸びることが想定されます。更に、世界的な資源高や円安の影響による建築資材の上昇などを考えますと、来年以降の建築費の更なる上昇は避けられない環境といえるでしょう。

 

昨今の地価上昇と建築費の上昇から、不動産業界ではマンシ17ョン価格、新築戸建て価格は軒並み上昇してきました。価格上昇による消費者の購買能力や意欲が下がらないよう、価格の上昇を直接反映せず、マンションの専有面積や戸建ての土地面積、建物面積を目立たない程度に小さくするなどして販売価格を調整しているディベロッパーも多く見受けられます。しかし、いくら土地、建物の価格が上昇しているからと言って、販売価格を上げるのも面積を小さくするのにも限度があります。

 

建築価格が上昇し、販売価格を上げるのにも限度があるとすると残るは土地の価格です。例えば新築戸建て住宅の販売価格が変わらない(上げられない、上げるにも限度がある)場合、建物価格が上昇すると、そのぶん土地の価格を抑えざるを得ません。要するにこれまで5,000万円の新築戸建て住宅の内訳が建物2,000万円、土地3,000万円だったものが、建物3,000万円、土地2,000万円になっていくという事です。

もちろん、すぐにこのようになるわけではありませんが、建築価格が上昇し続ける以上、このような傾向になっていくだろうということは推測されます。ということは、建設業の2024年問題によって土地の価格、特に住宅地の価格はこれまでの上昇傾向から、横ばい、場所によっては下落に転ずるところも出てくるのではないでしょうか。鬼に笑われないよう先の予想もこれくらいにしますかね。

建設業も運送業も若手1,000万円プレイヤーが続出し、報酬面だけでも魅力のある業界になるといいですね。その分、価格も上昇しますが社会全体で吸収するしかありません。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

ご相談窓口

まずは、お電話、お問い合せ・ご相談フォームより、お越しいただく日程を決めさせていただきます。
※東京近郊にお住まいの方は、協会事務所までお越しいただき、詳細に相談をお受けいたします。

お電話でのご連絡

  • 新宿本部

    03-3320-6281
  • 横浜オフィス

    045-620-3701

お問い合せ・ご相談フォームからのご連絡