消防設備点検
- アパート・マンションの消防設備
2月に入り寒さも厳しくなりました。空気も乾燥し火事に対して注意が必要な時期です。
今回は賃貸住宅の経営に欠かせない消防設備点検についてお話し致します。
- 消防設備点検は必須
建物を管理する上で消防設備点検は必要になってくるものであり、法令で義務付けられています。
賃貸住宅の持ち主である大家さんには点検の義務があり、点検を怠ったことで火災事故が起きた場合は大家さんの責任が問われることもあります。
150㎡以上のアパート・マンションなどの共同住宅は半年に1回点検を行い、さらに3年に1回、共同住宅が所在する市町村の消防署長への報告義務があります。
義務を怠ると罰則もあります。
- 消防設備点検の項目
主な点検事項についてご説明致します。
1.消火器
火災が発生した初期段階で活躍する器具となります。消火器が設置されているかを確認し、必要に応じて交換作業が発生します。また、業務用火災報知器は中身だけを交換することも可能ですが、費用は消火器ごとの交換と大差はありません。点検業者と相談してみましょう。
2.自動火災通知設備
天井などに設置してある感知器です。熱や煙などを感知した時に自動で知らせてくれる設備です。賃貸物件では専有部分に設置、また床面積によって設置する自動火災報知設備の種類が異なります。また電池式感知器の電池寿命は10年程です。既存住宅は2011年以降、全市町村で設置義務となり、その頃設置した電池式感知器の電池寿命を迎える頃になります。
3.避難器具
避難はしご、救助袋、緩降機などがあります。避難器具は火災があったときにすぐ使用できる状態にしておく必要があります。これらはお部屋に入らないと点検できないこともあるため、消防設備点検の際は入居者への立会協力が
必要になります。
4.誘導灯
「EXIT 出口」と書かれた、緑地で人が逃げるマークをしているものです。誘導灯が荷物などで隠れていないかを確認する必要があります。
5.非常警報設備
火災発生時に手動で操作して火災を知らせる設備のことです。非常ベルや自動サイレンなどが正常に動作するかどうかを点検します。
6.連結送水管
火災が起きたときに水を送る設備のことです。日常的に使用される部分ではないため、放っておくと劣化します。10年を経過したら「耐圧性能点検」を実施し、その後は
3年ごとの点検が必要です。
- 消防設備点検にかかる費用
小規模(10戸未満) 8,000〜15,000円
中規模(20〜50戸未満) 25,000〜50,000円
大規模(50戸以上) 70,000円〜
値段に幅があるのは、どれくらい設備があるかによって幅が出てくるためです。賃貸経営の際、消防設備点検の費用は、運営費に組み込んでおくと良いでしょう。
賃貸住宅の規模によっては、点検資格を持っていなくても自分で点検することも可能です。以下の項目に該当しなければ、点検資格を持っていなくても点検できます。
・延べ床面積が1,000㎡以上の建物。
・地下または3階以上の階に特定用途があり、かつ階段
が屋内に1か所しかない防火対象物等。
- 消防点検の注意点
一般的にはこの消防設備点検がある旨を、点検より前に通達しますが、お部屋へ入らないと行えない点検もあり、入居者が立ち会うことができない日程の場合は、入居者の代わりに家主や管理会社立会いのもと住戸に入る場合もあります。
しかしこれによって入居者とトラブルが発生することもあります。予備日を設定や事前に説明を行うなどしてトラブルにならないように配慮しましょう。
(著者:見留)