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賃貸経営

事故物件の告知について

事故物件とは

過去に、自殺、他殺、火災等で人がなくなった物件のことです

病死や自然死は、発見が遅れた場合に、事故物件と判断することがあります。今のところ、事故物件の告知を判断する明確な基準はありません。そのため、事故物件の契約はトラブルになり易いのですが、告知するかどうかは、裁判事例から類推して判断しているのが現状です。人によって心理的な嫌悪感は違いますので、事故物件の告知の判断は難しいということになります。

 

告知義務

事故物件の所有者や事故物件を取り扱う不動産業者は、契約相手(買主、借主)に事故物件であることを説明しなければなりません。

 

告知の範囲

共同住宅の住戸で事故が起きた場合、当該住戸は告知の対象になりますが、隣の住戸の告知はどうすれば良いのでしょうか?

東京地裁平成19年8月10日の、賃貸アパートで自殺があったという事例では、本件貸室以外の貸室を賃貸するにあたり、本件事件を告知する義務はない、としています。自殺した貸室に居住することと、その両隣の貸室や階下の貸室に居住することとの間には、常識的に考えて、感じる嫌悪感の程度にかなりの違いがあることは明らかであり、建物所在地、単身者向け物件等の諸事情を併せて考えると、本件建物の他の部屋を新たに賃貸するにあたり、賃借希望者に対して本件貸室で自殺があったことを告知する義務はないというべきである、と裁判所は述べています。

 

告知期間

東京地裁平成13年11月29日の、借上げ社宅で自殺があったという事例では、本件貸室が大都市に所在する単身者用のアパートの一室であることから、本件事件は2年程度を過ぎると瑕疵(欠陥)ではなくなり、他に賃貸するにあたり、本件事件を告げる必要はない、としています。一方、売買契約で、横浜地裁平成元年9月7日の、家族で居住する目的で購入したマンションで6年前に自殺があったという事例では、永住的に使用する目的であった買主が、本件事件を知っていれば通常購入することは考えられないこと、事件後6年以上の経過もさほど長期であるとはいえない、としています。このように売買の方が賃貸よりも告知期間が長くなる傾向にあります。また、個別の事情により判断が分かれています。

 

   ガイドライン(指針)作成の検討会

国土交通省は、本年2月から有識者による検討会を開いて、事故物件の契約の際に告知する基準を示すガイドライン(指針)の作成に向けた議論を始めました。ガイドラインが作成されれば、ある程度の線引きができるので、トラブル防止とともに事故物件とみなされない病死や自然死の基準が示されれば、敬遠されがちな高齢者との賃貸契約の促進に繋がることになります。

 

(著者:青木)

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