広がる家賃保証会社の保証範囲
以前にも取り上げた「家賃保証会社」ですが、最近では、その保証範囲も一段と広がりを見せており、又、民法の改正で個人の連帯保証人が立てづらくなる事も予想される事から、今後の賃貸経営には増々不可欠の存在になると思われます。
今回はその現状をお伝えします。
【家賃債務保証業界の現状】
2015年度の実績で、新規の賃貸借契約の内、約6割で家賃保証会社の利用が行われています。
国土交通省が把握する保証会社は全国で147社ですが、その1割の会社が20万件以上の契約を有する事業者であり、その契約件数合計が全体の6割強をしめています。社員数10名以下で、売上高1億円以内の小規模事業者も全体の5割を占め、消費者センターへの相談件数も年間600件超で高止まりをしています。
現在は保証会社を規制する法律がなく、監督官庁もありませんが、下記の3つの業界団体が作られて、独自ルールの制定や、個人信用情報収集等が行われています。
①(公)日本賃貸住宅管理協会
②(一社)全国賃貸保証業協会 ③(一社)賃貸保証機構 |
しかしながら、いずれかの業界団体に加盟しているのは55社にとどまっているのが現状です。
加盟していない大手ハウスメーカー関係の保証会社もありますので、必ずしも加盟している保証会社が良いといいきれるものではありませんが、売上上位の会社はいずれかに加盟をしていますので、やはり選択する上での基準にはなると思います。
又、国土交通省では保証会社の信頼性向上と共に、生活保護受給者・高齢者・障がい者等の「住宅確保要配慮者」の受入拡大に向けて、本年中には保証会社の登録制をスタートする見込みです。
【広がる保証範囲】
現在、次に挙げる項目はほぼ各保証会社の保証範囲に含まれています。
・賃料・管理費
・早期解約違約金
・解約予告違約金
・更新料
・退去時のクリーニング・修繕・残置物撤去費(上限額有り、会社によって相違)
・訴訟費用
以上の他に、近年では室内で起きた死亡事故に対応する保証会社も増えて来ました。具体的には
・残置物撤去費・天井回復費・現場供養費
・空室期間補償
等が主な保証内容ですが、中には
・値引き賃料との差額の一部補填
・隣接住戸の空室家賃
等を保証する会社もあります。
以上の保証内容は、会社によっても有無や、内容が違っていますので、ご注意下さい。
【最後に】
実際に貸主様が家賃保証会社と契約する事は多くはなく、管理会社やお付き合いのある不動産会社を通じてご利用されている事が殆んどかと思いますが、室内死亡事故にも対応する保証会社ですと、貸主様のリスクを低くして「住宅確保要配慮者」の受入も行う事が出来ます。
又、入居者が加入する家財保険を死亡事故時対応補償付の少額短期保険と組み合わせる事により、
より一層貸主様の負担を軽減する事が出来ます。
ぜひ、今後の空室対策の一環としても、現在ご利用中の保証会社の保証内容を再確認、ご検討されては如何でしょうか。
(著者:片岡)