路上生活者支援事業について
日本地主家主協会では2004年より東京都及び23区より路上生活者対策事業を受託しております。
今回は事業について少しお話しをし致します。
東京23区のホームレスは1999年迄は増加の一途をたどっておましたが(5,798人/1999年現在)、2000年からは微減に転じました。これは東京都及び東京23区が実施する自立支援システムの効果であると考えております。
このシステムは区内に自立支援センターという施設を設置。これはホームレス及びホームレスとなるおそれのある方を一時的に保護し、早期の社会復帰に向けた支援を行う施設です。
【ホームレス対策拡充の必要性】
上記システムでホームレス数は減少し始めたものの、まだ公園には多くのテント生活者が定住していました。
また新宿区民意識調査の「区政への要望」において、2003、2004年はホームレス対策が3位となり、マスコミおいてもホームレスについて頻繁に報道されている状況でした。
【ホームレスをアパートへ】
このため都及び区で、公園等で生活しているホームレスに対し、低家賃(月額3,000円)でアパートの貸付を行い、合わせて就労支援や生活相談などを行って、地域へ生活移行を支援することになりました。
日本地主家主協会はこの支援事業を受託。借り上げ住居(アパート)を確保しホームレスに賃貸いたしました。
また就労・生活支援は別の受託団体が実施し、総合的にバックアップいたしました。
この支援事業は2004~2009年まで実施致しました。
【物件の確保】
ホームレスにお部屋をお貸しするにはまず、物件を確保しなくてはなりません。
不動産市場に流通している一般的なアパートを借りていったのですが、当初はなかなかアパートが確保できませんでした。
それは、大家さんや業者さんの理解を得るのが困難だったからです。
そもそもホームレスの方にお部屋を貸すという想定がありませんでしたので、当然です。
たくさんの大家さん、不動産屋さんを訪問し、理解をしていただくように致しました。
その甲斐もあり、徐々に物件を貸して下さる大家さんが増えて行きました。
結果、2004~2009年までに延べ1,000室以上のアパートを借り上げ、23区内の城南・城西地区、約1,000人のホームレスを支援致しました(※城東・城北・地区に関しては別団体が受託)。
事業開始以降、2008年までに5500人から2750人と半減しました。
この事業を担当させて頂き、当初はホームレスの方にお部屋を貸すことに不安を感じる大家さんもいらっしゃいましたが、当協会が入居者と大家さんの間に入ることで、安心して頂くことができました。また、東京都福祉保健局、自立支援センター、サポート団体などとの連携で、様々な面からホームレスの自立支援・社会復帰のお手伝いをすることができました。
【事業継続】
現在もホームレス対策事業を継続受託しております。
2018年1月ホームレス数は1,242人とピーク時の5分の1近くまで減少しています。
これからも各自治体と協力し、ホームレスゼロを目指して行きたいと思っております。
(著者:見留)