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相続

司法書士の事件簿~第8回「登記済証(権利証)がない」

【登記済証(権利証)】

今回は、不動産登記に関連した話題として、「登記済証(権利証)」を紛失などしてしまった場合のその後の登記手続についてお話ししようと思います。

「登記済証(権利証)」とは、従前、登記が完了した際に法務局から買主等の登記名義人に交付された書面で、登記申請書の副本に「登記済」の押印がされ、併せて、受付番号が記載されています。

なお、平成17年3月の不動産登記法改正後は、いわゆるオンライン申請が導入されたこととの関係で、上記「登記済証(権利証)」から、順次、「登記識別情報」が登記名義人に通知され、現在に至っています(「登記識別情報」が記載された書面を「登記識別情報通知」と言います)。

 

 

 

「登記識別情報」とは、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められます。 ちなみに、上記12桁の符号が記載された部分については、当初、目隠しシール(はり直すことができないもの)が貼られていて、次の売買等の際、必要に応じて剥がし、記載された登記識別情報(上記12桁の符号)を司法書士等が確認していました。

しかし、この目隠しシール方式ですと、長年にわたる保管状態によっては、剥がす際に、符号が記載された部分まで剥がれてしまい、正確な登記識別情報が認識できなくなるような不都合が発生し、問題となりました。そこで、平成27年以降、従来の目隠しシール方式に変え、折込式(A4サイズの用紙の下部を折り込んで当該登記識別情報を被覆し、その縁をのり付けする方法)が順次採用されています。

 

【登記済証(権利証)や登記識別情報を紛失などしてしまった場合はどうすれば良いか】 

それでは、皆様が所有している不動産を売却等しようとした際に、何らかの事情で、「登記済証(権利証)」や「登記識別情報」を紛失などしてしまった場合は、どのように登記手続を進めれば良いのでしょうか?

このような場合、「登記済証(権利証)」や「登記識別情報」を提供することなく登記申請を行い、その後、法務局から、本人(売主等)に対し、「今回、このような登記申請がなされたが、それに間違いないですか?」という問合わせの書面が本人限定郵便で送付され、それに対し、本人(売主等)が署名し、委任状等に押印した実印を押印して、法定の期間内(法務局が上記書面を発送後、2週間以内)に当該法務局に回答することで、登記手続を進める「事前通知」というやり方があります。しかし、このやり方ですと、時間と手間がかかりますし、融資を受ける場合の担保権の設定等が関係する場合は、実務上使われません。

 

そこで、このような場合に、実務上よく使われるのが、「資格者代理人による本人確認証明情報の提供」です。

これは、我々司法書士等の資格者が代理人申請する場合に、申請者が間違いなく本人であるということを証する「本人確認証明情報」を提供することで、前述の「事前通知」を省略することができるという手続です。

実際は、司法書士が本人に面談し、運転免許証やマイナンバーカード等の本人確認情報の提示を受けて「本人確認証明情報」を作成し、これを添付して登記申請を行います。

この方法は、前述の「事前通知」と比較して、時間と手間はかからないのですが、我々司法書士に対する当該情報の作成手数料(報酬)が、本来の登記申請手続に対する手数料(報酬)とは別に発生(相場的には5万円~10万円程度)してしまうのが皆様にとってはデメリットといえるでしょう。

いずれにしても、皆様の中で、「登記済証(権利証)」や「登記識別情報」をお持ちの方々は、今一度、その存在を確認すると共に、金庫に入れるなどして厳重に保管して下さい。

 

(著者:司法書士 大谷)

 

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