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相続

司法書士の事件簿~第7回「遺言書について」

【遺言の種類】

今回は、「遺言」についてお話ししようと思います。

「遺言」には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言及び③秘密証書遺言の3種類があります。今回は、③秘密証書遺言については説明を省きます。

自筆証書遺言は、遺言者が、紙に、自ら遺言の内容の全文を手書きし、かつ、日付及び氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成します。なお、平成31年1月から、パソコンで作成した財産目録や、預貯金通帳のコピー、不動産登記事項証明書等を財産目録として添付できるようになりました。

更に、令和2年7月から、法務局において保管する自筆証書遺言の保管制度が始まっています。

 

 

 

 一方、公正証書遺言はその名のとおり、公証人が作成するもので、公証人に支払う手数料等費用はかかりますが、公証人という法律専門家が関与するので、内容も法律に照らし整序されたものとなりますし、方式の不備で遺言が無効となる恐れもありません。また、遺言者が病気などのため、手書きすることが困難な場合で、自筆証書遺言の作成が困難な場合でも、遺言者の意思が明確であれば、公証人に依頼をすることによって、公正証書遺言をすることができます。

 

【自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選べばいいの?】

それでは、遺言を作成しようと思った際に、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選べば良いのでしょうか?私見ではありますが、司法書士としての立場からすると、後々のことを考えれば、可能な限り公正証書遺言を選ぶべきと考えます。

前述したとおり、公証人に支払う手数料は発生しますが、公証人が関与する厳格な手続で、かつ、証人2名が立ち会うことで作成されますので、遺言者ご自身の気持ちに整理がつき、なおかつ安心もできるのではないでしょうか。

とはいえ、自筆証書遺言であっても、法律的に不備がないものを作成すれば、特段問題は発生しませんし、やはり、特段の費用がかからない点は、魅力ではあります。

この点、遺言を作成しようとお考えになった場合は、是非、我々司法書士にご相談頂き、内容や形式(自筆証書遺言なのか公正証書遺言なのか)をきちんと確定したうえで、遺言を作成して頂ければと思います。

 

【自筆証書遺言保管の際の注意点】

特に、自筆証書遺言については、「誰が」、「どこで」保管するか注意が必要です。当たり前のことですが、遺言の効力が発生するのは遺言者が死亡した時点であり、その後は遺言者自身が関与できません。この点、遺言者以外の者、例えば遺言執行者が保管するのであれば、特に問題は生じないでしょう。

しかし、大事なものであることを強調するあまり、遺言者自身が契約している貸金庫に自筆証書遺言を保管している場合は、注意が必要です。遺言者が「死亡」したことで、貸金庫が開扉が困難になるおそれがあるのです。

 

当職が実際に体験した案件では、被相続人が契約していた貸金庫につき、法定相続人全員の同意を得て解約しようとしたところ、法定相続人が約20名であることが判明しました。当職は、金融機関と協議のうえ、その全員の同意を得て、貸金庫契約の解約をしようとしましたが、うち1名の同意が得られず、解約ができませんでした。当職はやむなく、公証人に依頼していわゆる「事実実験公正証書」を作成してもらい、貸金庫内に自筆証書遺言があることを確認し、その旨を同意してくれなかった相続人に説明し、やっとのことで同意を得て、貸金庫を解約し、遺言書を入手した経験があります。こうなると、遺言の執行に余計な時間がかかってしまいますので、注意が必要です。

 

(著者:司法書士 大谷)

 

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