相続税申告のお客様からよくいただくご質問5選!
◎1.「戸籍謄本の期限は3ヶ月?」
今回は「相続税申告」のお客様からよくいただくご質問をまとめます。
一つ目は戸籍謄本類(印鑑証明書・住民票)の有効期限についてのご質問。
まずは戸籍謄本類の主な使用用途から整理します。①不動産名義変更 ②預金などに代表される動産の名義変更 ③相続税申告 ④相続税申告などに使う名寄帳、残高証明書などの取得。他には遺言書の検認や相続放棄、家庭裁判所での遺産分割調停などでも使用しますが挙げるとキリがないので①~④の範囲で有効期限をまとめます。
戸籍謄本の有効期限は提出先の判断によります。一般的には「3ヶ月以内」としているところが多いようですが、税務署や法務局等の役所は3ヶ月という期限はありません。相続税申告に使用する場合は「相続開始日から10日を経過した日以降に取得したもの」という条件がある程度です。金融機関などでは期限が設けられているため、各種窓口にお問い合わせください。
◎2.「うちは、小規模宅地等の特例が使える?」
次はご自身で相続税についてある程度詳しい方からいただくご質問です。「小規模宅地等の特例」は居住用敷地の評価が80%減と相続税の圧縮効果が大きく、積極的に活用したい制度ですが、適用にはいくつかの条件があります。
詳しくは割愛しますが、一つ言えるのは亡くなった後に事実を曲げることはできないということ。
核家族化している日本の家庭では税務署が想定するような生活はまず見られません。私の肌感覚では、①親御様が暮らす敷地内の離れ(またはごく近く)にご子息が別居 ②親御様は老人ホームに、空いた実家にご子息が暮らす といった形が6~7割です。小規模宅地等の特例を受けるためには、生前のうちに要件の確認と対策を。
◎3.「どうすれば相続税が安くなるの?」
相続が発生してからでは難しいようにも見えますが、もう少し続きがあります。
このご質問をいただくのは、お父様の相続時にお母様がご存命のときです。つまり一次相続だけではなく二次相続でも相続税が発生するケースです。この場合、私は二通りのご回答をします。
まずは、お母様の相続税対策をする予定があるのか? する予定があるのであれば、配偶者の特例を使って一次相続の相続税を抑え、二次相続で各種対策を。相続税対策をする予定がないのであれば、相続人が一人でも多い一次相続で決着をつけることを。ポイントは相続税申告を行う税理士が二次相続や、その先の相続までレールを引いてくれるかどうかです。
◎4.「兄弟の言うことに納得がいかない。どちらが正しいの?」
いわゆる兄弟喧嘩なのですが、実はこれが一番困る質問です。
内容は重大なものとそうでないレベルとに分かれますが、多くの場合、共通するワードは「介護」です。介護は親族間でも話題にしづらいので、難しいことは重々承知しておりますが、できれば介護を行うタイミングから相続対策を始めておくことをおすすめします。分割協議で使う評価額は、相続税評価額とは異なる「時価」ですので、注意が必要です。
◎5.「とにかく何から始めたらいいのかわからない」
お父様の相続時はお母様が主導しており、お子様にノウハウが受け継がれていない場合のご質問です。
相続税申告はいわばまとめ作業のようなもの。そこにたどり着くには、多岐に渡る手続きを最短ルートで完了させる必要があります。その最短ルートの開拓こそが相続専門税理士の真骨頂。初回面談でこのルートを示せるかどうかが税理士の実力を測る一つの目安になります。
(著者:税理士 高原)