『相続税土地評価路線価評価の補正項目ご紹介②』
◎続・路線価評価の補正項目
相続税の路線価評価における補正項目を取り上げる全3回シリーズの2回目になります。
先月は4つの補正項目(1~4)を取り上げましたが、今回はさらに3つの項目(5~7)について詳しくみていきます。
◎「地積規模の大きな宅地」とは
三大都市圏は500㎡以上、それ以外の地域は1,000㎡以上の敷地を境目として相続税評価額を減額する評価のことです。
適用条件は地積以外に、
①所在地域が普通住宅地区・普通商業併用住宅地区にあること
②容積率(都市計画法で定められている指定容積率)が400%(東京都の特別区は300%)以上であること
③市街化調整区域や工業専用地域に該当しないこと といったものがあります。
①②③の条件は、税務署や市区町村が指定する絶対的な基準であり、適用に際し、個別判断の可能性を最大限下げ、画一的な評価にしようという意図があります。ただし、最初に示した地積の判断基準に関しては、縄延びや土地の利用単位・取得単位(=遺産分割方針)を見直すことによって、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用できる可能性が見えてくることがあります。評価指数は一定の算式によって求めていくことになりますが、路線価に対しておよそ0.8〜0.35の指数になります。
◎取引実態は半値8掛2割引!「無道路地」
無道路地はその名のとおり、道路に接していない土地のことをいいます。
道路(中でも建築基準法上の道路)に接していないことによる不動産市場での不利益は大きく、現状のままでは建物が建てられないことから時価は著しく下落します(一般的には半値8掛2割引=32%です)。
相続税土地評価においてもこの不利益を織り込むこととして、無道路地の評価というものが設けられました。具体的には、道路に接しているとした場合の評価額から前面宅地の評価額を控除した価額に、さらに最低限の通路開設費用を控除した価額をその評価額とする方法です。ただし、無道路地のように大きく時価が下がる要素を含んでいる土地には、場合によっては鑑定評価を入れることも検討する必要があります。
◎レッドゾーンだけと諦めないで!「がけ地・土砂災害特別警戒区域」
敷地内にがけ地や土砂災害特別警戒区域にある土地を含んでいる場合には、その敷地に対する占有割合や方位によって求めた評価指数により、減額が可能になります。
がけ地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている「宅地」のことをいい、例えば、ひな壇式に造成された住宅団地に見られるような、擁壁部分を有する土地をいいます。
土砂災害特別警戒区域は、いわゆる「レッドゾーン」と呼ばれるもので、市区町村がそのエリアを指定しています。類するものに「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」というものがありますが、この区域は基本的に減額の対象にはなりません。
ただし、土地の状況によっては「利用価値の著しく劣る土地の評価」という別の規定を使って減額することが可能になるケースもあるため、諦めずに検討しましょう。次回も引き続き、相続税路線価評価の補正項目について取り上げます。
(著者:税理士 高原)