相続の税理士選びチェックリスト①
◎相続の相談先として適しているか? チェックリスト
当コラムの読者は、すでに特定の税理士とお付き合いのある方も多いでしょう。
ただ、次のチェックリストに一つでも心当たりがあれば、相続税についてはアドバイスを求める税理士を検討された方がいいかもしれません。
□個性の強い土地を所有している
□税理士が不動産評価について多面的な検討(不動産鑑定士による鑑定、土地家屋調査士による測量等)をしていない。または検討しない理由を説明されていない
□担当税理士の相続税申告件数が年に1~2件と少ない
□相続税試算がメモ書きレベルの簡易なものである
□相続税申告報酬(見積もり)が相場よりかなり安い
□担当税理士(担当者)があまり不動産に詳しくない
□土地の評価方法について説明がない
□土地の詳細な現地調査や役所調査をしていない
□相続税試算結果または申告書に附属書類(公図・路線価図・住宅地図等)がついていない
◎決め手はやっぱり不動産
日本の相続では、財産内訳のうち約4割を不動産が占めています。
値札のない、この不動産をいかに評価するのかが、相続税の多寡はもちろん相続の形をも決めていきます。
知識や経験の浅い税理士に委ねると、適切な答えが得られないか、または得られたとしても時間がかかりがちです。
税理士資格を持っているとはいえ、税理士になるための試験で現実世界にあるような個性豊かな土地評価の問題は出ません。試験は相続税の計算のカラクリを理解しているかどうかが重要なのであって、土地評価をあまり問題にはしていないからです。
試験には出にくい個性の強い土地をお持ちの方こそ、相続経験豊富な税理士に相談を寄せるべきです(余談ですが、私は机上の空論になりがちな勉強よりも実体験の方が何倍も価値があると思っています)。
◎不動産評価にはセカンドオピニオンも有効
一物四価(1つの不動産に4つの価格がある)といわれるくらい、不動産の評価額は目的によってまちまちです。
売買取引なのか、相続税申告なのか、評価をするならその目的に適合した評価額を出すべきですが、相続税において時価評価(鑑定評価)の視点が必要となることもあります。このとき頼りになる専門家に不動産鑑定士がいます。
例えば公図を見て縄延び・縄縮み(登記記録の面積と実際の面積が異なること)に気がつくかどうかは経験に左右されるもの。
税理士から評価について何も説明がないのは自信の表れかもしれませんが、価格に影響する要素に気がついていないだけという可能性もあります。説明が乏しければ、別の専門家のセカンドオピニオンも参考にすべきでしょう。 (次回に続く)
(著者:税理士 高原)