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相続

相続税の税務調査①

◎嫌な手続きですが自己申告納税制度を支える大事な柱です

今回から2回に渡って和楽の税金コーナーは税務調査を取り上げます。

そもそも税務調査とは税金の申告後に管轄国税局や税務署が申告内容を確認し、申告内容に誤りがあればその是正を求める調査手続きのことを言います。

原則として税務調査は任意調査です。ただし一般的な受忍義務は課されていますので(日時の変更は別ですが)事実上、調査拒否は難しいと思って頂いて良いでしょう。

 

◎税務調査の中でも相続税の税務調査を取り上げます。

税務調査は申告期限からおおよそ1年〜2年後、季節的には秋に行われることが多いです。(春に行われることもあります)あくまでも統計データですが相続税の全申告中約20

%が税務調査の対象となっており、そのうち約80%以上が何らかの申告漏れを指摘されています。そのうち一番、指摘される内容が「名義預金」になります。

 

 

◎なぜ名義預金はバレるのか?

答えは簡単です。税務署が独自に被相続人はおろか相続人を含めた家族の財産や収入の洗い出しをしているからです。

例えば税務調査時の質問の1つに「あなたの取引金融機関を教えて下さい」というものがあります。実のところ税務署は相続人の口座開設時の申込書などの証拠書類も既に持っていることもあるのでこの質問の答えはわかっています。ですが、この質問で漏れた金融機関は相続人の管理外にある(=名義預金である)ことを自覚させやすいのであえてぶつけるのです。収入(所得税や贈与税、相続税の申告)も把握していますから、収入額以上の貯金は基本的に作れないというところからも名義預金はバレるのです。

 

◎一般的な税務調査の流れは?

1)税務調査予定日の2〜3週間前に連絡が入る→具体的な日時の調整

2)日程決定後、事前通知(対象税目や閲覧予定書類などの通知)

3)調査当日は午前10時ぐらいからスタート、夕方まで。

4)調査終了時には税務署職員から結果説明。

5)調査終了後は税務署職員と税理士との間で打ち合わせ

という流れになります。

 

◎搬出質問は?

1)被相続人の生い立ちから始まる略歴・趣味など

2)生前中の被相続人の財産管理状況

3)相続人自身のここまでの略歴など

4)遺産分割協議の状況(スムーズに分割協議が終わったのかなど)

など他にもありますが、多くは日常会話のような質問がほとんどで相続税法の第◯条…というような専門的な質問はほぼされません。ですが、これら上記の質問の1つ1つが納税者の外堀を埋める内容になっています。

 

◎税務調査を防ぐには?

答えは簡単です。

 

➀申告前→財産の棚卸を。(時間が限られている中で財産の棚卸や遺産分割、あげくは納税資金の準備までしようとするから申告漏れが起きてしまいます。財産の棚卸をしておけば申告期限までの時間がたっぷり使えます。)

②申告中→税理士の中でも相続税申告に慣れている税理士に依頼しましょう。税務署を説得できるような申告書を作れる人に依頼すべきです。

③申告後→相続税の更正の請求を検討しましょう。

次回のこのコーナーでは③の相続税の更正の請求が税務調査対策になった事例をご紹介したいと思います。

 

(著者:税理士 高原)

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