どこに頼むか?誰に頼むか?
土地活用、資産の組換えに伴う不動産の売却、購入、賃貸経営に関するアドバイス、相続対策にともなう相続税の試算や遺産分割対策、納税計画などなど、土地資産家の悩みは多岐にわたっています。悩みや問題の内容によって、それに対応する、事業者の役割は異なります。
例えば、土地活用はハウスメーカー、不動産の売買は不動産仲介会社、賃貸経営は賃貸管理会社、相続税の試算などは税理士というような具合です。更に、業態ごとに数百、数千もの多くの事業者が存在します。当然ですが、どの事業者も、うちが一番、うちにお任せください、というなかで、どこに相談するか、お願いするかを判断するのは非常に困難です。
多くは友人、知人など含め、信頼のおける人からの紹介、場合によっては営業が熱心だからと、お願いする人もいるでしょう。ただし、それによって相談した事業者がお客様の問題を的確に把握し、最適な提案をしてくれるかはまた別問題です。また、相談する事業者には、都度、お客様の財産構成や、家族構成、考え方などを伝えなければ良い提案は受けられませんし、担当者との相性の問題もあります。いろんな人に会い、提案を受け、自分に適した担当者に出会ったのも束の間、転勤や組織変更、退職などによって担当が変わるなんていうことも良くある話です。また、組織の看板が大きくても担当によっては知識や実務対応能力、人柄にも差が出ますし、組織が大きくなると、組織の利益を追求するあまり、お客様にとってリスクのある積極的な提案をする傾向にあります。後々、リスクが顕在化し、会社に対応を求めても、担当が移動、退職したとなれば対応はうやむやになってしまいます。
大切な財産の相談を、どこに頼むか、誰に頼むか非常に悩ましい問題ですね。
本当に必要なのは、欧州で発祥したプライベートバンキングのように、一生、場合によっては、次世代まで、お客様の資産の運用から財産の承継、家族のプライベートな相談まで受けられるコンサルタントの存在です。欧州のプライベートバンキングは高度な専門知識と人間力をもちあわせ、お客様の財産から家族構成、趣味特技までを把握しておりますので、お客様の相談には最良の提案および実行を期待することが可能なのです。もちろん、長期のお付き合いですので、過度なリスク商品は提案しませんし、お客様の財産を増やすより、守ることに重きを置いています。そこにはお客様との間に非常に大きな信頼関係があることがうかがえます。日本でも、これにならい、金融機関などが、プライベートバンキングやウェルスマネジメントなどという富裕層専門組織を作っておりますが、自社利益追求のリスク商品の販売などに偏っており、健全な富裕層マネジメントとはいえないのが現状です。
欧州のプライベートバンクまでいかなくとも、自身の財産について長期に渡って相談でき、不動産、相続、税制、法制に明るく、且つ、健全な価値観をもったコンサルタントと出会うことが、今後の運用、財産承継を考えるうえでの第一歩ではないでしょうか。
とはいっても、そのようなコンサルタントと出会うのはなかなか難しいですね。
かくいう私もそのような頼れる存在を目指し、日々研鑽を積みたいと思います。
(著者:不動産コンサルタント 伊藤)