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底地・借地権

共同売却時の地主と借地人の配分について

貸地の権利調整手法のひとつである借地権付き建物と土地(貸地)を第三者に完全な所有権で売却するといういわゆる、共同売却という方法では、地主と借地人との配分をどうするかが大きなポイントとなります。

 

 

特に、借地人にとっては、土地と併せて完全な所有権として売却するか、借地権付き建物として売却するかでは売却価格に大きな影響を与えます。

地主が積極的に土地を売却したい場合は、売却価格や配分について大きな問題になることはありませんが、地主に積極的な売却理由もなく、借地人が売るなら一緒に、というような消極的な理由の場合、借地人が価格や配分に固執しすぎると話は纏まりません。

そもそも借地権と土地は別々の財産であり、それぞれが売る、売らないという意思決定権がありますので、地主が、配分や金額に納得がいかなければ売却を中止するということも十分ありうるのです。

 

売却先が見つかり、契約の直前でこのような配分をめぐるトラブルにならないためには予め配分に関する取り決めをしておくことが重要です。

地域や取引慣習にもよりますが、路線価による借地権割合を配分の基本としつつも地主側にプラスアルファすることが多く見受けられます。それは、単に地主が強いから、頑固だからではありません。地主が協力し、一緒に売却することによって完全な所有権となり、結果、借地権の価値も最大に発揮されるということ、また、借地権単独で売却した場合は、地主に譲渡承諾料として売却価格の一部(一般的には一割)を地主に支払わなければならないこと、加えて借地権の設定当初は権利金などの一時金を受け取っていないこと、そもそも借地権割合は国税局があくまで相続税の評価をする上での指標として決めたものであり、必ずしも売却価格の配分として用いる必要がないことなどを鑑みると、売却価格の配分には地主に対して相応の考慮が必要であることが理解できると思います。

 

また、地主の立場に立つと、配分の取り決めに加えて、土地(貸地)価格の下限を定めることも検討する必要があります。

想定より高く売却できそうな場合は問題ありませんが、思った金額以上で売却できそうにない、価格を少し下げてでも借地人が売却を急ぎたい場合などは、下がった金額の割合に応じて一緒に金額を下げる理由はありません。

 

繰り返しになりますが、地主には借地人に合わせて土地を売らなくてもいい、売る、売らないという意思決定は自由であるということを、借地人は基本として理解しておかなければなりません。

要するに、土地も一緒に売却するという事自体、借地人に相当程度配慮しているといえるのです。このようなことを理解しないで、あまりに配分割合に固執するなどの権利主張が強いと、地主の心証も害し、最悪の場合、一緒に売却しない、借地の譲渡承諾もしない、など、折角の財産価値を大きく毀損することにもなりかねません。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

 

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