新・借地借家を巡る諸問題 ⑫_借地契約の更新料・各種承諾料
1 はじめに
今回は、借地契約の更新料・各種承諾料について、取り上げたいと思います。
借地契約は数十年の長期に渡ることになるため、更新料の問題が頻繁に生じることはありませんが、譲渡(名義変更)承諾料や増改築承諾料等の問題は、それなりの頻度で生じることがあると思いますので、この機会に整理していただければと思います。
2 借地契約の更新料
借地契約が更新される場合、借地契約において更新料の定めがなければ、地主の側から更新料の請求はできないのが原則です。
ただし、借地契約の更新に際して、借地人が更新料の支払に同意すれば更新料の請求も可能となり、実務的には、借地契約において更新料の定めがない場合でも、借地人が更新料の支払に応じている場合が少なくないと思います。
更新料の額は、借地契約において具体的な定めがあれば、それに従うことになりますが、具体的な定めがない場合は、当事者間の協議により決めることになります。そうした場合の更新料の目安は、借地権価格の5~10%程度と言われています。
3 借地契約の各種承諾料
⑴ 譲渡(名義変更)承諾料
借地権の設定は、賃貸借契約によることが一般的ですが、賃貸借契約による借地権の譲渡には、民法上、地主の承諾が必要とされています。そのため、借地契約上、借地人による借地権の譲渡が特に認められていない限りは、借地人(賃借人)が地主に無断で借地権を譲渡することは認められず、譲渡(名義変更)承諾料を支払って、地主の承諾を得ることが必要となります。
そして、賃貸借契約による借地権の譲渡(名義変更)承諾料の目安は、借地権価格の10%程度と言われています。
⑵ 増改築承諾料
借地上の建物の増築は、法律上は制限されないのが原則ですが、改築については、借地借家法上、借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を築造する際には地主の承諾が必要とされています。ただし、借地契約においては、借地上の建物の増築と改築のいずれについても地主の承諾が必要とされているのが一般的ですので、いずれにしても、借地上の建物の増改築には、地主の承諾が必要となるのが通常です。
そして、借地上の建物の増改築承諾料の目安は、更地価格の3~5%程度と言われています。
⑶ 借地条件変更承諾料
非堅固建物と堅固建物のいずれを所有目的とするかにより異なる存続期間が定められていた旧借地法の適用がある借地契約や、所有目的とする建物の種類・構造・規模・用途を制限する等の借地条件が定められている借地契約については、所有目的とする建物を非堅固建物から堅固建物へ変更する等の借地条件変更には、やはり地主の承諾が必要となります。
そして、借地条件変更承諾料の目安は、更地価格の10%程度と言われています。
3 おわりに
借地契約の更新料・各種承諾料については、借地契約において具体的な定めがあればそれに従うことになりますが、実際には具体的な定めまではない場合も少なくありません。そうした場合には、以上のような更新料・各種承諾料の目安を参考にしていただければと思います。
(著者:弁護士 濱田)