不動産売買

不動産の売却を検討する際、まず考えなければならないのは「誰に頼むか」です。

業者を選定する物差しは、知り合いだから、知人の紹介だから、家の近くだから、大手だから、チラシや広告を見て、ネットで検索して、など、人によって様々です。

また、ちょっと相談すると、うちには沢山、購入希望客がいます。うちは全国チェーンだから安心です。ちょうどこのエリアで欲しいというお客さんがいます。即日、高額査定です。加えて、頻繁に電話、メール、訪問など、一気に不動産会社のペースに巻き込まれてしまうこともよく見受けられます。昔から変わらない不動産営業ですが、耳触りの良い話を聞くと、ついつい、そちらにお願いしようかとも考えます。大切な資産の売却ですから悩むのも当然ですね。

 

 

 

 

「誰に頼むか」を考えるうえで、また、納得してお願いするために、不動産情報流通のしくみを理解する必要があります。

不動産の売買情報（売り物件情報）は売主から依頼を受けた不動産会社（元付業者と呼びます）によってREINSと呼ばれる不動産業者間の売り物件情報のデータベースに登録されます。そのデータベースは全国の不動産会社によって常に閲覧が可能となっており、不動産会社であれば全国の最新の売り物件の情報が入手可能です。データベースに登録された物件情報は、不動産購入の相談を受けた不動産会社（客付業者と呼びます）によって紹介され、条件が整えば、成約という流れになります。

 

要するに、売主から依頼を受けた元付業者は、売り物件情報の窓口となり、客付業者からの問い合わせの対応や条件等の調整を行い、売主の売却の代理人として動くのが主な役割です。当然、元付業者自らお客様を探すことも可能ですが、それはあくまで副次的な役割であり、売主の利益にかなうよう客付業者と交渉するのが一番の役割です。

 

このようなことから、どの不動産業者にお願いしても、不動産情報の流通そのものに特段の格差はありません。したがいまして、不動産売却の相談を誰に頼むか、というのは、お客さんをたくさん持ってそう、地元、大手、全国チェーンというより、自身の窓口となって動いてくれる「信頼できる会社」にお願いするというのが基本です。こと、仲介においては、どこに頼んだから、高く売れた、早く売れたというのはありません。

また、売却を依頼する形式として、複数社にお願いする、一般媒介契約と一社にお願いする専任媒介契約（専属専任媒介契約）がありますが、信頼できる会社にお願いするということと、自身の情報対応の煩わしさを前提に考えますと、一社にお願いする専任媒介契約の方が望ましいと思います。何より、専任で依頼を受けた場合は、より責任をもってやろうという、やる気が俄然変わってきます。

それでやる気が変わるのもどうかと思うかもしれませんが、よい仕事の原点は「あなたを信頼してるから何とか頼むよ」概ねそんなところではないでしょうか。

 

(著者：不動産コンサルタント　伊藤）