第2回資産活用_「賃貸借による運用ー土地賃貸借編」➀
Ⅰ.土地賃貸借「貸地」による運用
今回は、不動産の賃貸借による運用の中で土地賃貸借のお話しをしましょう。
借地人(借地権)が存在する貸地(底地)は、「自由にならない!どうしょうもない負の財産だ!貸地なんか相続しても苦労ばっかりだ‼」
そう考えておられる「地主さん」は多いかと思います。周囲の状況を見て、そう考えるのも不思議ではありません。しかし、貸地の運用法となる土地賃貸借では、動産である有価証券等の金融商品とは違い、仕入コストや資産組換えのわずらわしさ、価格の大幅な下落や元本割れのリスクがありません。又、固定資産税・都市計画税(経費計上可) の納付はあるものの、後でご紹介する建物賃貸借による運用にとっては必要となる大規模な初期投資、建物管理費・修繕費等のランニングコストや空室リスクなどもありません。
地主さんの保有する不動産(土地)の多くが、借入金や自己資金で購入したものでなく、相続税(借地権割合で評価減有)こそ納めているとはいえ、ご相続で取得された財産だと考えられます。その土地が貸地の場合は、貸地のままで運用する。更地であれば、新たに土地賃貸借契約を結んで運用します。考え方をかえると、貸地とは借地人との良好な関係、地主さんにとっても健全な土地賃貸借契約であれば、賃貸中は自由に使用収益できないことを除き、大規模な投資が要らず、低コストでリスクの少ない、長期的で安定的な運用のできる可能性を秘めた優良な資産だと言え、安心して次世代へ承継できることでしょう。
さて、土地賃貸借にはその借地権の内容により以下の数種類が存在し、それぞれの主な運用について、順を追って説明していきます。
「旧借地法」と新法である「借地借家法(平成4年8月1日以降)」に基づいて設定された借地権によるもの、新法により新たに創設された「定期借地権制度」である、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の三種類によるもの、借地借家法の適用がほとんどなく、借地権の生じない「一時使用目的の土地賃貸借」などがあります。※太文字部分の詳しくは、協会HPのコラム「借地権」を参照。
これらは、地主さんを取り巻く環境、保有する不動産のポテンシャルやご自身のニーズに合った選択をすれば良いのです。実際の運用では、選択肢の最大限の活用を想定して、差異があればそれに近づくよう現状を改善し、有効活用が困難であれば、その問題を解決し最適な活用のできる貸地にして、資産運用を成功させましょう。これが、何か気づきのきっかけにしていただけたら幸いです。
次回の第3回は「旧借地法適用の貸地運用」についてです。
当協会では、借地借家法に基づいた、専門家による貸地の健全な土地賃貸借の相談や土地賃貸借の改善提案、土地賃貸借契約の更新手続きなどのお手伝いをいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
(著者:関口)