テナントリテンション
【テナントリテンションとは】
テナントリテンションとは、入居者の保持という意味です。解約されないこと、入居者に長く住んでもらうことです。空室対策と同じぐらい、テナントリテンションは重要です。稼働率の高い物件の大家さんは、入居者の満足度を上げる対策を取っています。もし、一室でも解約されて、募集することになったら、仲介の不動産会社への成約報酬として1ヶ月分、入居までの空室期間を3ヶ月(繁忙期を除く)、原状回復費用を2ヶ月分とすると、合計6ヶ月分の損失になります。
【解約理由】
リクルート住まいカンパニーの2014年の調査によりますと、引越しのきっかけランキング(複数回答)は、
1位:前住んでいた物件に不満があったから 22.0%
2位:前より良い条件の物件をみつけたから 20.0%
3位:結婚したから 18.8%
4位:転勤になったから 17.3%
5位:賃貸の更新時期がきたから 16.8%
6位:転職した(する)から 6.5%
7位:一人暮らしをしたかったから 6.3%
8位:入学した(する)から 2.8%
同率:就職した(する)から 2.8%
となっています。
入居者が解約を申し出た場合、解約理由を確認していると思いますが、解約理由が結婚や転勤のように、やむを得ない事情でないときは、何らかの対応を取ることで、解約数を減らすことができます。
【具体的な対応】
1.トラブル時の迅速な対応
設備の不具合により使用できない期間が長くなりますと、入居者の不満は大きくなります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅管理リスク・マネジメントマニュアルによりますと、故障等の連絡から修理完了まで通常必要な日数として、
トイレが使えない:1日
水が出ない・電気が使えない:2日
エアコンが作動しない・風呂が使えない:3日を目安としています。入居者からのトラブルの連絡に対して、例えば、エアコンや給湯器の予備をあらかじめ用意しておく、など緊急対応ができるようにします。
2.入居者サービス
古くなったエアコンや給湯器等の設備は、故障する前に交換します。ファミリー物件の場合、追い焚き機能付きの給湯器に交換すると入居者の満足度が上がります。また、畳の表替えやエアコンクリーニングの実施、ウォシュレットやTVモニターインターホンの設置、インターネット無料設備の導入、共用部分に宅配ロッカーの設置など、入居者の満足度を上げられるものは何かを検討し、実行します。
3.更新料の見直し
更新月には家賃1ヶ月、更新料1ヶ月、火災保険料など、家賃2ヶ月分以上を支払う必要があり、入居者の負担は大きいです。
更新時期に解約されないように、更新料を減額するか、又はゼロにします。更新料をゼロにする場合は、不動産会社や管理会社に支払う更新代行手数料を大家さんが負担することになります。
【最後に】
入居者の平均居住期間は、前出の日本賃貸住宅管理協会のデータによりますと、単身用物件は2~4年、ファミリー物件は4~6年です。テナントリテンションにより、入居者に1年でも長く住んでもらうことが、物件の収益を上げることに繋がります。
(著者:青木)