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コロナ禍における固定資産税・都市計画税を考える。~令和3年税制改正ポイント~

固定資産税・都市計画税(以下、「固都税額」という。)は毎年6月頃に「納税通知書」という形で不動産所有者のお手元に届いていると思います。

その納税通知書には、固都税額のほかその算出根拠となった不動産評価額、課税標準額等が記載されていますが、その内容について考えることは少ないと思います。

そこで、今回は固都税額の算出の内容について、考察していきたいと思います。

 

 

 

(1)固都税額算出の基準となる価格・・・納税通知書の「価格」に該当する部分

固都税額を算出するための土地の評価額は、「公示地価の7割」に設定されています。

この土地の評価額は、3年毎に見直され、令和3年度(2021年)は評価替えの年になっています。

 

(2)課税標準額とは?

固都税額を算出するための基準となる価格のことです。

200㎡以下の住宅用地(自宅等)の場合を前提にお話しすると、上記「土地の評価額」が「1/6」に下げられる特例があります。

よって、課税標準額は「土地評価額×1/6」により算出されます。

 

(3)固都税額の算出

固都税額は、「課税標準額×税率」により求められます。

つまり、固定資産税は「課税標準額×1.4%」、都市計画税は「課税標準額×0.3%」

で計算されて、固都税額が算出されているのです(東京都区部)。

 

(4)その他

固定資産税については、「負担調整措置」も考慮されています。負担調整措置とは、固定資産税評価額が急上昇した場合であっても、固定資産税の負担が急に増えないようにするための措置であり、課税標準額を徐々に増やす仕組みをいいます。

この負担調整措置は、わかりにくいので以下の例題でみてみましょう。

【例題】

住宅用地で、令和2年度の課税標準額が1,000万円、令和3年度の課税標準額が1,500万円になったケース(※最近ではありえないですが、バブル期にはありました)。

 

 

本来であれば、課税標準額が1.5倍になっているので、税額も1.5倍になるのが通常ですよね。

ただ、これだと納税者の負担が増すことから、「負担調整措置」の制度で、税額の上昇を抑えることにしたのです。

例題をもとにすると、負担水準は「67%(≒令和2年1,000万円÷令和3年1,500万円)」になります。この場合には、「令和2年度の課税標準額+令和3年度の課税標準額×5%」が課税標準額になると決められており、この措置が「負担調整措置」になります。つまり、例題の負担調整措置を使った課税標準額は、1,075万円(1,000万円+1,500万円×5%)となりますので、課税

標準額が1,500万円から1,075万円に抑えられ、結果、固定資産税額が安くなるという仕組みでした。

 

以上が、固都税額の算出方法でした。イメージがつきましたでしょうか。次に令和3年度税制改正がどのように固都税額に影響を与えるのかみていきます。

 

  • 令和3年度税制改正による特例措置

新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動や国民生活全般を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえて、納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度分に限り、負担調整措置により税額が増加する土地について前年度分(令和2年度分)の税額を据え置く特例措置が講じられました。

つまり、令和3年度分の固定資産税については、固定資産税評価額が上がった土地については令和2年度と同額に据え置かれ、固定資産税評価額が下がった土地については下がった評価額に基づく課税になります。

 

  • 令和4年度分および令和5年分の取扱い

令和3年度が3年に1度の固定資産税評価額の評価替えの年度にあたるため、令和4年度および令和5年度は本来据置年度になります。ただし、令和4年度および令和5年度において地価の下落があり、価格を据え置くことが適当でないときは、価格の修正が行われます。 一方、固定資産税評価額が上昇している土地について負担調整措置は継続して適用されます(令和5年度まで継続)。

 

以上から、令和3年度の税額は、令和2年度と比べて同額か若しくは下がることになります。

令和4年度、令和5年度は、固定資産税評価額が上昇している地点では、令和3年度固都税額よりも高くなる可能性はあります。

 

(著者:手塚)

 

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