【会社の種類~株式会社か合同会社か?】

皆様の中には、不動産等の資産の管理をしたり、新たな事業をするなどのために会社の設立をお考えの方もいらっしゃると思います。その場合、どのような種類の会社を設立するのが良いのでしょうか?

現在、これから新たに設立することができる会社の種類は4種類(①株式会社、②合同会社、③合名会社、④合資会社)です。なお、「有限会社」は現在も多数存在していますが、平成18年の会社法施行に伴い、新たに設立することはできなくなりました。また、③合名会社及び④合資会社については、数も少なく、一般的ではないため、今回は言及しません。

つまり、新たに会社を設立しようと思う際には、①株式会社にするか②合同会社にするかという選択が現実的だと思います。

 

 

【株式会社のメリット・デメリット】

株式会社のメリットは、やはり、社会的認知度・信用力が高いということでしょう。これらは、もちろん、法律的に付与されたものではありませんが、社会的実態として、合同会社より広く一般に知れ渡っているということは、大きいメリットといえるでしょう。

また、多くの人から出資を受けて会社の事業規模を大きくしたい場合は、株式会社とするべきだと思います。この点、合同会社は上場することはできません。

一方、デメリットとしては、(実際にしているかどうかは特に中小企業ではさておき)年1回の決算公告が法律上義務付けられている点や、役員の任期が最長でも10年とされていることから、再任(重任)の場合であっても、役員変更の登記申請を行わざるを得ず、費用がかかるという点です。また、この役員変更登記を失念してしまった場合、第2回にご説明したように、過料の制裁が科されてしまいます。

 

【合同会社のメリット・デメリット】

合同会社のメリットは、設立の際の費用が株式会社より安いという点です。合同会社の設立に際しては、定款認証手続が不要(株式会社の場合は、定款認証手数料として、会社の資本金の額に応じ3万円~5万円かかります)ですし、登録免許税も6万円(株式会社は最低15万円)で済みます。

また、決算公告の義務がなく、役員の任期の定めも不要であったり、出資の割合に基づかない自由な利益分配が可能である点もメリットです。

一方、合同会社はまだまだ認知度は低く、社会的認知度・信用力も株式会社に比して低いと言わざるを得ません。また、出資者全員が経営に関わるので、小規模事業者向きといえます。

 

【その他の注意点】

どちらの形態の会社を選択するにしても、それ以外にも注意すべき点は、様々あります。

例えば、株式会社の資本金については、会社法上、「1円」でも設立すること自体は可能ですが、現実に、そのような資本金1円の会社に社会的信用力がどれだけあるのかという点では疑問を感じざるを得ません。資本金については、個人的な見解ですが、やはり、最低でも100万円程度は確保した方が、その後の会社経営のためにも良いと思います。

また、これは、どちらの形態の会社でも同じですが、本店所在地がいわゆるレンタルオフィスやバーチャルオフィスである場合、会社名義の預金口座が開設できない(特にメガバンクではそのような傾向があるようです)といったような問題も生じます。もっとも、ネット銀行はそのような場合でも口座開設に応じる傾向が強いので、特に金融機関にこだわりがない場合はそれほど気にする必要もないのかも知れません。

 

(著者:司法書士 大谷)