不動産の価格を把握するには
不動産の価格は、「一物五価(1つの不動産に対して5つの価格)」ともいわれ、不動産の価格を判定することは非常に難しいです。
先ずは、その五価について、簡単にみていきましょう。
・「公示価格」・・・・全国の土地約26,000地点について、国が毎年1月1日時点の価格を公表しています。当該価格の役割は、道路拡張等「公共用地買収」時や「民間土地取引の指標」を目的とした価格となります。
・「基準地価」・・・・全国の土地約22,000地点について、都道府県が毎年7月1日時点の価格を公表しています。役割は公示価格と同様となります。地価公示の地点と、基準地の地点が重複している地点も多く存在し、重複地点では半年毎の土地価格動向(変動率)が判別できます。
・「固定資産税評価額」・・・・固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの基準になる価格です。市町村が決定し、3年ごとに評価替えが行われ、直近では平成30年度に評価替えがされています。この評価額は、「固定資産税の納税通知書」の「価格」欄で確認できます。
なお、土地の固定資産税評価額は、公示価格の約70%程度に設定されています。
また、建物の固定資産税評価額は、実際に発注した建築費の約50%~約60%程度に評価されることが多いです。
・「路線価」・・・・相続税・贈与税を算定するための価格です。国税庁が毎年1月1日時点の価格をその年の7月頃に公表しています。なお、路線価は、公示価格の約80%程度に設定されています。
・「実勢価格(取引価格)」・・・・実際に市場で成約になった価格です。よく勘違いされる点として、近隣不動産の売却物件のチラシにある価格を実勢価格」として、判断してしまうことです。不動産屋さんのチラシは「売出価格」となっており、実際に成約となった「成約価格」とは違っていることが多いのです。つまり、売出価格から値下げされて成約さていることが多く、その値下げされて決まった成約価格が取引価格になるのです。
以上、不動産の「五価」をみてきました。
不動産を売却する参考価格は「公示地価(基準地価)」、「実勢価格(成約価格)」になるので、先ずは、対象地周辺の公示地価(基準地価)を調査してみるのがいいでしょう。
ただ、気を付けていただきたいのは、所在するエリアによって、例えば、地方の不動産の場合には、土地価格の相場が、「公示価(基準地価)ではなく、路線価格程度しか出ない地域や、さらには路線価を下回る地域」もあるのです。公示価格=相場価格とならないエリアもあること、不動産の個別性(接道状況、土地の形状、面積、高低差等)によっても、不動産価格が変動しますので、ご留意ください。
対象不動産の価格(経済価値)を正確に把握できる専門家は国家資格の「不動産鑑定士」となります。公示価、路線価、固定資産税評価額も各エリアの「不動産鑑定士」が算定して、公表されています。土地の売却価格がどの程度か、不動産会社からの査定書が適正な水準なのか、少しでも疑問に思った場合は、「不動産鑑定士」がいる当協会までお気軽にご相談ください。
(著者:手塚)