建物給排水管の更新工事
共同住宅を保有していると、建物の維持管理・修理修繕費用など、固定費用・思わぬ費用が発生します。
定期的な点検や家主修理が必要な箇所は、ざっと挙げただけでも下記の通りです。
屋上防水・屋根・廊下・階段・バルコニー・外壁・鉄部・建具・集合ポスト・貯水槽・給水ポンプ・テレビ共聴設備・昇降機・外構・駐輪場・ゴミ置場・室内設備(給湯器・エアコン・浴室・換気機器・トイレ・各水栓金具他)・給排水管等々
室内設備に関しては、一斉交換や、退去時にグレードアップ工事を行うなども、全体費用の軽減・入居率のアップ・賃料増額に繋がる事が考えられます。
が、建物(器)の維持管理が重要である事は、いうまでもありません。室内が最新設備でピカピカの状態でも、外装が剥げて、鉄部に鯖が出たままの状態では、内見時に印象は悪くなるでしょう。台風時に雨漏りが発生するようなら、入居者の退去につながる可能性もあります。
雨漏りは経年劣化によるものですから、是非ともそうなる前の修繕の実施を行いたいところですが、見逃しがちなのが、建物(器)の内部に血管のように配置された水道管の劣化です。
築古物件の場合には、給排水管に金属管が使用されている事が多く、内部は長年の使用によって腐食して、色のついた水が出てきたり、水道管にピンホールの穴が空く事もあります。給水管に空いたピンホールの穴からは微量の水が出続ける為、階下の居室天井では溜まり切った水で天井板が落ちかける事もあります。
写真は、台所の給水管にピンホールの穴が空いて、階下への漏水があった部屋で、修理は流し台を手前に外して行なわれ、給水管の交換、階下の天井張替と共に、階下の家財被害に対する保険請求などの手続きが行われました。
この建物は築30年を超えた鉄筋コンクリート造でファミリータイプ全10室のマンションですが、この部屋以外の部屋でも漏水が発生した事も有り、1階に居住するオーナーは空室となった部屋から、水道管の更新工事の実施を決断されました。
更新工事は1室数十万円となる高額工事ですが、その後数年間掛けて全室の工事が完了し、「いつ管が破裂してもおかしくない。排水管洗浄も危険で出来ない」状態を脱しました。
空室となった部屋から行った事で、入居者へ負担を掛ける事なく実施出来ました。
その後、外壁修繕も行い、入居者の入居期間長期化と共に空室となった部屋も即時契約となる人気物件となりました。もともと人気エリアに建つ物件ですが、立地に頼る事なく築古物件の物件価値を維持出来た成功事例です。オーナーの「入居者の立場に立った目線」も成功の要因のひとつと考えます。
出来る事から少しづづ・・という修繕もどうぞご検討下さい。
(著者:片岡)