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賃貸経営

同族法人による不動産賃貸経営も最終的には売却に

中小企業経営者の高齢化と後継者問題が数年前より話題となっております。

技術やノウハウがあっても後継者がいないため廃業せざるを得ないケースも多く、このままでは日本の技術力、経済力も衰退していくため、経営者がまだ元気なうちに会社、事業を売却し、技術、ノウハウを承継していこうという、いわゆるM&Aを国や経済界が積極的に支援しています。

 

 

 

もちろん不動産賃貸経営も事業ですが、どちらかというと事業承継というより財産承継ですから後継者問題というより、誰がその不動産を相続するかという相続問題といえるでしょう。

賃貸事業の規模によっては、所得税や、相続税の節税効果を高めるために、親族で法人を設立して賃貸経営をしているケースも多く見受けられます。この場合は法人の株式を誰が相続するかという問題になります。財産の形は不動産ではなく法人の株式となりますが、不動産の現物を相続することと実態はそう変わりません。

同族法人の設立によって不動産賃貸経営をする場合、推定相続人である配偶者や子、孫を役員とし、賃料収入をそれぞれの給与として分散させることよって、トータルの所得に関する税金を減少させる効果や万一の場合の相続税の納税財源を確保する効果も見込まれます。

 

順調に賃貸経営ができているときは一族による法人の運営も得に問題はありませんが、同族法人の株主に相続が発生したりすると、相続によって株主が子供や、孫となり、賃料収入を分け合う役員も、当初は株式を相続した兄弟だったものが、相続を重ねることにより兄弟の子である、いとこ同士となります。

兄弟で法人を経営している時は賃貸事業も順調で特に問題なかったものが、相続によって、いとこ同士の経営となり、同族法人の役員とはいいながらも、次第に縁遠くなり、賃貸経営に関する修繕や入退去の管理、契約の条件など、小さなことでも意思決定が取りづらくなります。普段は本業として企業に勤めている場合などはなおさらです。

 

同族法人による賃貸経営は主に税などの面ではメリットはあるものの、株主や役員に配偶者や子、孫が入る場合などは、法人による賃貸経営とはいいながら、実態は不動産の共有とほとんど変わりありません。法人の役員構成や株主構成が兄弟から、いとこと縁遠くなり、管理が難しくなると、結局最後は不動産を売却して、法人を解散、あるいは法人ごと不動産を売却し、お金で清算するということになるケースがほとんどです。

要するに同族法人による不動産賃貸経営も、同族間による不動産の共有も最終的には売却してお金で分け合うという結末が見えています。互いの意思疎通ができ売ってお金で分け合えるうちはいいものの、関係者が増えたり、第三者が入り込んだりするとそれどころではありません。既に法人で不動産所有している、もしくは共有している場合は、売却を想定した運営が必要です。早くお金に換えてスッキリしたい関係者はすぐ近くにいるものです。

 

(著者:不動産コンサルタント 伊藤)

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