原状回復工事の各保険・保証会社の活用について
賃貸借契約解約時の原状回復工事については、以前よりこのコラムでも取り上げてきており、貸主・借主間での基本的な原状回復の定義と負担区分・割合等は広く周知が進んでいるものと思います。
今回は、そうした基本的な負担割合に基づいた原状回復の事例を取り上げた上で、賃借人が入居条件で契約した借家人賠償責任保険や、家賃保証会社による原状回復工事カバーの実例を紹介します。
【事例①】
上記の工事のうち、1・2は喫煙よる張替等でも経過年数を考慮すると賃借人負担はありませんが、3~6は賃借人負担となり、又、6のクリーニングにおいては、汚れの酷さから費用が嵩み経過年数が考慮されない襖の張替も枚数が多い事や、残置物撤去費用なども加えると、賃借人負担は110,000円程となり、敷金を充当して35,000円が不足する事となりました。
賃借人は自分の過失における負担である事は承知していますが、不足金の支払日については、いつ頃支払えるかの回答をうやむやにしています。
管理会社は次の募集に向けて工事の発注を急ぐ必要も有り、止む無く、賃借人が契約していた家賃保証会社の「原状回復工事費用賃料1ヶ月分迄保証」に基づき、保証会社への立替請求を行いました。
【事例②】
クリーニングは賃借人負担の為、敷金より相殺。網入りガラスの熱割れは退去2ヶ月前に気づいたが退去が決まっていたので、管理会社に連絡をしなかった。
又、浴槽エプロンは、退去前に掃除をしようと外した時に部品を損傷してしまったもの、との事。
賃借人が契約していた少額短期保険はこうした修理やガラスの熱割れにも対応していますが、退去当日が、契約期間満了日で、請求手続きは契約満了日を過ぎてしまいますが、契約期間中の発生である為、特に問題なく、管理会社は賃借人に対して請求手続を要請しました。
【まとめ】
家賃保証会社の保証内容は、保証会社によっても違っている場合があります。
又、保険会社の補償も同じくです。
現在契約されている各社の保証・補償内容をしっかり把握する事も大事だと思います。
(著者:片岡)