『相続税土地評価路線価評価の補正項目総復習①』
◎路線価評価について
今回からは路線価評価における補正の内容を3回にわたってご紹介したいと思います。
今回取り上げる補正項目は下記の4項目です。
◎そもそも路線価評価とは
相続税土地評価における路線価評価は、各国税局が道路に対して設定している1㎡の価格(路線価という)に対し、評価対象不動産の地積を乗じて評価額を求める方法です。
ですがこの路線価には土地の個性が反映されていません。この個性を反映するために使用するのが各種補正率です。補正率の指数は、土地が所在するエリア(住宅地区、商業地区など)によって異なります。
◎最大20%減額!「奥行価格補正」
奥行価格補正についてご説明する前に、基礎的な用語解説から。「間口」とは土地が道路に面している距離のことをいいます。また、「奥行」とは土地が面している道路から土地の最深部までの距離のことをいいます。この間口(距離)と奥行(距離)が、補正率を決定する基準になります。建物の活用場面でも重要な要素となりますので、覚えておいてください。
奥行価格補正は、その土地が所在する標準的な土地に比べて奥行が長い、または短い場合に評価額を減額できるというものです。補正率は0.80から1.00の範囲で定められています。つまり、奥行価格補正によって土地の評価額が下がることはあっても上がることはありません。
◎唯一、評価額がUP!「側方加算・二方加算」
評価対象地が複数の道路に面している場合、①複数の道路を利用できることで利便性が良くなる ②通風・採光面で環境が良くなる ③建ぺい率の加算を受けられる 等のことから、その土地の効用が上がります。この効用の上昇を見込んで側方加算・二方加算を行うことで評価額が増額します。
ただし、一見して路線価が付されている道路に面していても、その道路が実は建築基準法上の道路ではないことや、図面上では道路に面しているように見えても、現地に行ってみると道路との間に高低差が存在するといったケースもあるため、行政的条件や現地調査は必須です。
◎俗に言う、うなぎの寝床「間口狭小・奥行長大補正」
間口狭小・奥行長大な土地を表すものとしてよく例えられるのが「うなぎの寝床」です。間口が狭い・間口に対して奥行が長い土地に対して、利便性の低さを考慮して評価額を減額することができるというものです。具体的には間口距離に対して奥行距離が2倍以上になると、奥行長大補正が入ります。間口狭小補正は前述の所在エリアによって補正率の指数が異なります。
◎区画整理されていない土地では頻出!「不整形地補正」
これは言葉通り、地形が歪な土地に適用し、評価額を減額できる補正です。所在エリア・地積・整形地に対する陰地割合(欠けている割合)の3つの要素によって補正率の指数が定められています。紙面の都合で詳細は省略しますが、土地の形状に合わせた4つの計算方法が認められています。
(著者:税理士 高原)