騒音トラブルが起きた場合の大家さんの対応について
入居者トラブルの中で最も多いご相談が、騒音による問題です。
「上の階の子どもが走り回る音がうるさい」、「隣室の住人が友達を呼んで夜中も騒いでいる」、「隣室の生活音がうるさい」など、大家さんは色々なクレームを受けています。
このようなクレームを受けた場合、大家さんとしてはどのような対応をすればいいのでしょうか?
大家さんには、賃料の支払いをもって賃貸する建物を使用収益させる義務があり、要するに、平穏に暮らせる状態で提供する義務があります。そのため、騒音のクレームがあった場合、そのまま放置してはいけません。
騒音を出している発生源(上の階の住人、隣室など)が特定できている場合は、
大家さんとしてすべきことは、双方の言い分を聞き、音のクレームがきているため大きな音を出さないように注意喚起し、改善を促すことです。他にも、建物内に貼り紙をすることも有効です。
しかし、問題は生活音です。
音は、人によって感じ方が違うため、とても難しい問題です。人によっては全く気にならないような音でも、敏感な方にはとても気になるものです。
「早朝や深夜に洗濯機を使用する」といったことであれば、社会常識的にやめてもらうよう伝えますが、普通に生活しているだけでも音が気になると言われた場合、そのクレームを主張している住人がとても神経質である可能性もあります。それでも、お互いに良好な環境で生活するために配慮することが求められますので、音の発生源である住人にその旨伝えます。それでも状況が変わらないようであれば、大家さんとしてできるだけの対策は行ったので、あとは当事者同士の話し合いになります。
【騒音を理由に退去してもらうことはできるか】
普通借家契約の場合、貸主と借主の信頼関係が破綻しているかどうかが問われます。
そもそも賃借人には「善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)」があり、社会通念上要求される程度の注意をもって使用しなければいけないという義務があります。
つまり、賃貸借契約書に「騒音を出してはいけない」という項目がなくても、騒音を出すことは賃借人が善管注意義務に違反していることになります。騒音で信頼関係が破綻したとみなされる場合は、退去して頂くことも可能と思われますが、判断が非常に難しいところです。この場合、賃借人に騒音について何度も注意をしているにも関わらず、一向に改善されない場合は、信頼関係が破綻したとみなされ賃貸借契約の解除の可能性が出てきます。しかし、その音が受忍限度を超えているか(社会通念上我慢ができる限度を超えているか)という問題があり、そのためには音の大きさや発生する時間帯などを客観的に記録する必要があります。(行政によっては、音の大きさを計る計測器を貸してくれるところもあります)
騒音の被害にあっている住人が、その騒音のために身体を壊し診断書がある場合や、複数の住人から同様のクレームを受けている場合などは、契約解除の要因となりますのでご留意ください。
(著者:秋葉)